中学公民の景気と景気対策について解説します。
好景気とは収入が増え、モノもよく売れる状況をいいます。サラリーマンのご家庭では給料が増え、よく買い物や外食に出かけるイメージです。
不景気とは収入が減り、モノがあまり売れない状況をいいます。サラリーマンのご家庭では給料が減り、買い物や外食を控えているイメージになります。
永遠に好景気だけが続いたり不景気だけが続いたりすることは無く、普通は好景気と不景気が交互に繰り返されることになります。これを景気循環と言います。
景気循環が滞り、極端な好景気や不景気が長く続くと企業や家計に影響が出てきます。そこで様々な景気対策が取られることとなります。
景気対策には政府が行う財政政策と日本銀行が行う金融政策があります。以下、好景気時と不景気時の財政政策・金融政策についてまとめてみます。
【好景気時】
世の中にお金が多く出回っている状況です。お金が多く出回り収入が増えること自体は良いことなのですが、過熱し過ぎると物価がどんどん上がり貨幣価値が下がってしまうインフレーションという状況になってしまうことがあります。好景気が過熱しているときには次のような対策を取ることがあります。
なお、好景気時の対策はすべて世の中に出回っているお金の量を減らすことが目的だと考えると分かりやすいと思います。
(1)政府の財政政策
➀公共投資を減らす
国が発注する工事を減らすことで国が支払うお金が減り、世の中にお金を出回らせないことになります。
➁増税を行う
税金を増やすことで世の中に出回っているお金を回収し、世の中に出回っているお金を減らすことになります。
(2)日本銀行の金融政策
➀公開市場操作(売りオペレーション)
日本銀行が持っている国債などを民間の銀行に売ることをいいます。民間の銀行からみると国債などを買うことになるので、日本銀行にお金を支払うことになります。結果として民間の銀行の手持ちのお金の量が減り、そこから世の中に出回っていくお金も減ることとなります。
➁預金準備率操作
民間の銀行が強制的に日本銀行に預けなければならない資金の割合のことを預金準備率といいます。この預金準備率を上げることで民間の銀行は日本銀行に多くのお金を預けなければならず、手持ちのお金が減ることになります。その結果、民間の銀行から世の中に出回るお金の量が減っていくことになります。
【不景気時】
考え方としては好景気時の反対になります。世の中に出回っているお金の量が少ない状況なので、世の中に流通するお金の量を増やさなければなりません。不景気時の対策はすべて世の中に出回るお金の量を増やすことが目的だと考えると分かりやすくなります。
(1)政府の財政政策
➀公共投資を増やす
国が発注する工事を増やすことで国が支払うお金が増え、世の中に出回るお金が増えることになります。
➁減税を行う
税金を減らすことで私たちが払うお金が減り、世の中に多くのお金が残ることになります。
(2)日本銀行の金融政策
➀公開市場操作(買いオペレーション)
日本銀行が民間の銀行が持っている国債などを買うことをいいます。民間の銀行からみると国債などを売ることになるので、日本銀行から代金を受け取ることになります。結果として民間の銀行の手持ちのお金の量が増え、そこから世の中に出回っていくお金も増えることとなります。
➁預金準備率操作
預金準備率を下げることで民間の銀行が日本銀行に預けなければならないお金の量が減り、手持ちのお金が増えることになります。その結果、民間の銀行から世の中に出回るお金の量が増えることになります。
経済は「生き物だ」と言われ理論通りにならないこともあるのですが、中学公民の景気についてはこのあたりを押さえれば大丈夫かと思います。