解かない解き方

中学校のテストでも高校入試でも大半の問題は暗記した知識で解くことになります。
そこで、塾の授業でもワーク(問題集)は解き終わったところがゴールではなく、そこをスタートして最後は撤退的な暗記の作業を行うよう話しております。

成績が伸び悩み中2の途中から入塾したT君、この話を聞いて自分に足りかなった作業は暗記であることに気がつきました。
そこで彼が行ったことは、
「ワークは解かない!」
ということです。
ワークを解く作業を省略し、いきなり解答を開いて1つ1つの問題と答えを照らし合わせて暗記を始めました。
もともとの学力は十分にある生徒さんでしたので、この方法でT君のテストはどんどん点数が上がっていきました。
しかし私には一抹の不安が・・・・。
定期試験のような試験範囲が限られたテストでは確かにこのような勉強も方法の1つとしてはあるかと思います。
どうしても勉強が間に合いそうにない時に、あきらめてしまうよりは最後の手段としてこの方法を伝えることもあります。
(そうならないように普段から努力することが大切なことは言うまでもありませんが。)
しかし、入試対策としてはこの方法では危険です。
習ったところ全部が範囲になる入試では、正しい理解のもとに積み重ねた知識でないと対応できません。
コツコツと解いた上で暗記するようT君には幾度となく話しましたが、学校のテストの得点が上がっている現状もあり、なかなか聞く耳を持ってくれませんでした。
しかし、現実は甘くありません。
学校のテストの得点は上がっていったものの、模擬試験の得点は下がっていきました。
下がり続ける模試の結果を見て、これではいけないとT君が気づいたのは入試数か月前でした。
幸い目標の高校には合格できましたが、気づくのがもう少し遅れていたら結果は違っていたかも知れません。

小手先の勉強ではなく、しっかりと地に足をつけた勉強をしなさいという教訓です。

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