前回日米和親条約と日米修好通商条約について解説しました。
日米修好通商条約では、➀日本に関税自主権がないこと、➁アメリカに領事裁判権を認めたこと、から日本にとって不平等な(不利な)条約であったとされています。
それでは、関税自主権と領事裁判権とはそれぞれどのようなものなのか、今日はこの2つについて解説します。
【関税自主権】
関税自主権とは、関税(輸入するものに対してかける税)の税率を自由に決められる権利です。
自国の産業を保護する目的などでかけられる税金です。
例えば、日本である商品が100円で売られています。これと同品質のアメリカ製の商品が輸入され、70円で売られたとします。
品質に変わりがなければ安いアメリカ製のものが多く買われ、日本の商品が売れなくなってしまいます。
関税自主権があれば関税の税率を自由に決められますので、例えばアメリカ製の商品1つに対して関税を50円かけるとします。結果的にアメリカの商品は120円で売らなければならなくなり、日本の商品が売れなくなることを防ぐことができます。
この関税自主権が日米修好通商条約では日本にはありませんでしたので日本にとって不利な内容だといわれます。
【領事裁判権】
日本にいる外国人が日本国内で犯罪を犯したときは、本来であれば日本の法律を適用し、日本の裁判にかけられることになります。
それに対し領事裁判権とは、外国人が日本国内で犯罪を犯しても日本の裁判にかけることができず、日本にいる領事(その国の役人)が裁判を行うことができる権利のことをいいます。
日米修好通商条約ではアメリカに領事裁判権を認めたので、アメリカ人が日本国内で犯罪を犯しても日本の裁判にかけることができず、日本にいるアメリカ領事による裁判が行えることとなりました。
日本の裁判にかけるよりも有利な判決になってしまう可能性があることから日本にとって不利なものと考えられるのです。
この2つがなぜ日本にとって不利なものだったのか、内容をしっかり理解するように学習を進めてください。